ホームステイのトラブル対処方法
オーストラリアでホームステイを経験した人はたくさんいらっしゃると思います。また、
他の国でもホームステイを経験して、楽しい思い出と同時に苦い思い出を持っている方も多いでしょう。
ホームステイにはあたりはずれがあると言われますが、その理由は一般の家庭に滞在するため、それぞれの家庭の事情で何らかの影響を受けることが避けられないからです。滞在中に夫婦喧嘩や親子喧嘩があったり、ホストファミリーが失業したり、ファミリーの病気や怪我、突然の引越しがあったりすることも一般家庭の出来事です。避けられない事情は仕方のないことだとしても、ホームステイのトラブルを避ける方法や対処法はあると思います。
特にトラブルとして挙げられているのは下記のような事柄です。
1. 食事が質素だったり、出なかったりする。
2. 家族と食事が違う。
3. 会話してもらえない、あるいは会話する時間がない。
4. 学校まで遠すぎる。
5. 家庭不和で気まずい。
6. お金を貸してもらえないかと言われる。
7. 言葉がわからないと思って、悪口を言われる。
8. 自分の荷物やお金の盗難。
9. セクハラをされる。
10. ベビーシッターをさせられる。
11. 風呂やシャワーの時間を制限される。
12. 電話を使わせてもらえない。
13. 学生が多くて寮みたいになっている。
14. 子供がいたずらする。
相談が第一
上記のような事柄は頻度や程度の差があると思いますが、 体験された方もいると思います。解決が難しい問題も中にはあります。食事付きなのに食事が出ないことは問題外ですが、例えば食生活が質素であることはそれぞれの家庭で差がありますし、習慣や経済事情の違いもあります。シャワーやお風呂は水不足のオーストラリアの事情があります。学校から遠すぎるということはどの範囲をよしとするかという問題があります。
「ホームステイは家族の一員になること」という話を聞いたりしますが、それは違います。長い時間をかけて仲良くなって家族のようになれることもありますが、いきなり他人を家族のように扱うことは誰でも難しいものです。
ホームステイに滞在する人はゲストなのです。ゲストでもレベルがあります。至れり尽くせりのおもてなしをするゲストではなく、基本費用を払ってもらって家に滞在する一定期間同居するゲストです。また、部屋と食事を提供することがメインになっていることも忘れないほうがよいでしょう。どこかへ連れて行ってくれるとか、何か特別なことをしてくれるという期待感は持たないことです。オーストラリアのホームステイの受け入れ条件は部屋と食事の提供という大変基本的なものだからです。
もしここで挙げたようなトラブルが発生した場合は、まず最初に語学学校のアコモデーションオフィサーと呼ばれる宿泊担当者に相談することです。(学校がホームステイを手配している場合に学校スタッフに相談できます。もし別手配でホームステイ会社が手配している場合は、ホームステイ会社に相談します。毎日通う学校のスタッフに相談できる点では学校手配のホームステイが理想的です。)
宿泊担当者に事情を説明し、その程度や頻度をなるべく正確に伝え、解決する対応策を考えてゆかなければなりません。アコモデーションオフィサーはこのようなことをたくさん経験しているはずです。問題が深刻な場合には早急にホームステイを変えたり、緊急避難する場所を確保してくれます。
まずは相談すること。自分で悩んでいても解決できるものではありません。
自己防衛策
相談が第一と申し上げましたが、その前に防衛することを考えてみてください。自分で自分を守ることは海外生活の基本です。
話すことはお互いの理解を進めることになります。トラブルのもとは多くが相互理解ができていなかったり、会話する努力が足りずに双方が誤解をしていることです。自分はゲストだから、自分は言葉がわからないから、相手が話しかけてくるのを待っている、説明してもらうまで待っているという受け身では事は進みません。それよりも悪化していくと考えたほうがよいでしょう。積極的に自分から質問したり話しかけたりして、会話の機会をつくることが大切です。小さな相互理解の積み重ねが大切なのです。もちろん相手も忙しくて対応できないときもあります。臨機応変にタイミングと思いやりを持ちながらファミリーに溶け込む努力が必要です。また他人に土足で踏み込まれたくないことは誰にでもありますので、その点も注意が必要です。
話し合うことや家庭事情・生活習慣の違いを理解する努力をすることで、多くの場合問題は未然に防ぐことができます。それが自分を守ることでもあります。
次に曖昧な返事や遠慮や思いやりが過ぎる事は控えましょう。相手の言葉がわからないにも関わらず曖昧な返事をすることは理解していると言っていることになります。また欲しいのに遠慮したり、嫌なのに相手のために我慢することで、お互いに理解できなくなってしまいます。同じ日本人の場合は同じ文化をベースにしているために察する気持ちが発達し、理解しやすい状況があります。しかし、外国人同士ではそのような同じベースがありませんから簡単にはいきません。
物事をすべてはっきり言うべきだと言っているのではありません。言うべき事や言う必要のないこともありますし、伝え方を考えなければならないこともあります。大事なことは自分の意思をしっかり自覚して、伝えるべきときに適切な方法で伝えることが大事なのだと思います。
荷物はいつもキチンと整理しておくことです。荷物の紛失や盗難は自分の置き忘れや勘違いかもしれません。いつも整理しておけば、何がどこにあるかすぐにわかるはずですし、盗難かどうかも判断できるはずです。また自分の部屋が与えられたとは言え、部屋の中は常に整理しておき、財布や現金、貴重品などは目のつく場所におきっぱなしにしないようにしましょう。
セクハラの防衛策について付け加えておきます。ホームステイはある意味で閉鎖的な空間です。ホストファミリーは善意あふれた親切や厚意で対応してくれていると思いますが、人は間がさすこともあれば、誤解することがあります。あなたの態度や服装次第ではホストファザー(ホストマザーの場合もあります)は留学生が自分に好意を持っているのではないかと勘違いしてしまうこともあるのです。ホームステイだからといって下着姿で家の中を歩き回ったり、あまり露出した格好をすることは好ましくありません。またパーティーや団欒でアルコールを飲むこともあるかもしれませんが、飲みすぎたりしないように注意が必要です。
ゲストである以上、礼儀と節度を持って行動し、誤解を招かないようにすることが自己防衛策なのです。